新年度のスタートは、新入社員の入社、3月末退職者の各種手続き、労働保険料の年度更新に向けての準備が立て込み、今年はさらに消費税アップという大きな税制改正があるなど、事務処理業務がとても多い時期です。重ねて、目標管理制度などを導入している企業では、新年度用の目標管理シートの準備や人事考課についての確認、社員との面談日程の調整、考課者研修などの重要な業務が発生します。しっかりと計画を立て、何をするべきか今から確認しておきましょう。今号では「目標管理制度」について解説したいと思います。
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目標管理制度とは |
目標管理制度とは、組織におけるマネジメント手法のひとつです。1950年代にドラッカーが提唱したとされるもので、社員に自ら目標を設定させ、その進捗や達成度合を各人が自ら主体的に管理する手法です。本人の自主性に任せることで主体性が発揮され、結果として大きな成果が得られるという人間観・組織観に基づくものです。英語ではManagement by objectivesと言い、MBOと略されます。「目標管理」とはその訳語ですが、「目標管理」では「目標」そのものを管理(マネジメント)することと誤解されやすいので、「目標による管理」とイメージするとわかりやすいでしょう。
目標管理制度と一言で言っても内容は様々です。以前は製造業などを中心に、「任されている業務を行うのは当たり前で、担当業務以外で何かを改善するなどの目標を設定しなさい」という目標管理制度が見られましたが、近年導入されている目標管理制度は、課題達成型・評価連動型で、担当業務そのものを目標(社員への課題)として設定し、社員個々が目標を達成することで、組織として、さらに企業全体の目標も達成できるように管理し、最終的にはその貢献度合を賃金に反映させるというものです。
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以前から行われていた 目標管理 |
課題達成型・評価連動型の 目標管理
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項目 |
担当業務以外の改善目標 |
担当業務そのものを目標として設定
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目的 |
動機付け |
課題達成(→組織目標達成→業績向上)
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設定手順 |
本人の自主性 |
会社からの要望
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評価との連動 |
人事評価の参考資料
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人事評価そのものとする
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●目標管理の狙い
目標管理の一番の狙いは「目標の明確化」であり、その結果、組織全体、最終的には企業全体の業績を向上させることです。また、明確な目標が設定できてこそ「公平かつ公正な評価基準」となり、人事評価と連動させた場合には、その納得性が高まるものとなります。
@個人の能力を伸ばすことで組織のレベルアップ
A公平・公正な人事評価との連動
B教育・訓練へのフィードバック
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目標設定のポイント |
目標管理制度を導入している企業の中では、目標管理ではなく、ノルマ管理になっているケースがよくあります。会社の都合ともいえるような達成不可能な目標を課し、何のサポートもしないまま社員を苦しめるというノルマ管理になってはなりません。ノルマを管理することと目標管理制度は別のものであることを理解しましょう。また、目標管理制度の最大の目的は目標を達成することであるはずなのに、その目的を忘れ、評価することのみが目的のようになってしまっている場合もあります。評価を行うための目標管理ではなく、組織目標達成、企業業績向上のための目標管理であることが大切です。そして、この組織目標達成・企業業績向上のための目標管理とするためには、目標設定段階で大事なことが3つあります。
@組織目標達成(さらには、企業業績向上)に連動した目標であること
A本人の努力により達成可能な目標であること
B@・Aが一致するように教育・訓練・指導を行い、達成できるような仕組み作りや環境とすること
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人事考課は考課者研修が大切 |
目標管理と人事考課は連動している場合が多いのですが、このような人事考課の仕組み作りはできても、人事考課者研修までは充分に行えていないことがあります。人事考課者の教育が不十分だと、せっかくの目標管理や人事考課の仕組みも半減してしまうことになります。
初めて人事考課を行う担当者はもちろんのこと、少なくとも2年に1回は人事考課者研修を行い、会社と人事考課者との間で考課基準のすり合わせを行いましょう。また、考課基準は一度決めた基準をそのままにせず、今までの考課の振り返りや会社の成長にあわせて見直すことが必要です。考課は金額的な評価(昇給や賞与等)へリンクするものですが、そこばかりに着目した研修ではなく、対象者(部下等)に不足している知識や経験を発見させ、「今後どのように育成していけば当初の目標が達成できるのか」ということを人事考課者が理解するような研修にすることも大切です。