表情、相づち、うなづき
話す力をアップさせるためには、聞く力をアップさせることです。人は誰でも「自分の話を聞いてもらいたい」という欲求を持っています。これは、あなた自身も持っているものですが、まずはその欲求をぐっと我慢して、
優しい表情、相づち、うなづきで相手の話に耳を傾けましょう。すると、会話の相手は自分の欲求を叶えてくれたあなたに対して嬉しくなり、心を開きはじめます。話を弾ませるためには、会話がスタートした直後から、相手と良好な関係を築かなくてはなりません。
優しい表情、相づち、うなづきは、「共感」を生み出す重要なツールです。この3つのうち一つでも欠けてしまうと共感は生まれなくなってしまうので、常に聞く態度に気を配る必要があります。本音では「それは違う」と思うような話であっても、その場では否定や反論はしないことです。いくら
自分の話を聞いてくれている相手でも、否定や反論をされると心を閉ざしてしまうからです。
聞き上手を目指す
好スタートを切った後、会話をより深めていくには、
「うながし」や「繰り返し」、「言い換え」が必要です。
「それからどうなりましたか?」や「それは、つまり?」など、時々「うながす」とよいでしょう。また、「フランスへご出張ですか!」や「誰もいらっしゃらなかったのですか?」などの「繰り返し」や、「つまり、プロジェクトの方向性が違ってきたのですね」「要するに、過酷な仕事量で体を悪くされたのですね」などの「言い換え」は、会話を盛り上げたり深めたりするための効果的なリアクションになります。
距離を縮めるバイネーム
私が客室乗務員として飛行機の中でお客様サービスに従事していた頃、搭乗者リストやお荷物タグなどをよく見て、お名前を覚えることに必死でした。なぜなら、良好な人間関係を築くには、相手との関係を近づけることが不可欠だからであり、名前を呼ぶことで会話の糸口が生まれるからです。
初対面、あるいはまだ数回程度しか会ったことのない間柄だからこそ、「お客様」とか「御社」、あるいは「部長」といった役職などではなく、相手を「○○様」と呼び掛けることが重要なのです。
人は自分の名前を呼ばれると親近感が増し、自然と心の扉を開ける準備をするものです。
情報収集で会話の9割が決まる
会話自体の力をアップするには、やはり地道なトレーニングが必要です。会話のトレーニングとは、
新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどから、常に情報収集をすることです。日頃から貪欲に“ネタ”を仕込んでおけば、相手の関心や状況に合わせて、その中からマッチするものを選ぶだけで済みます。そして、そのネタについて相手の話に耳を傾けつつ、こちらからも丁寧に掘り下げて話をしていけば、会話も自然と弾んでいきます。

ビジネスシーンにおいては、これらに加えていくつかの「会話時のNGポイント」があります。
例えば、「〜の方(ほう)」の使い方です。「電話の方、差し上げます」といったフレーズをよく耳にしますが、正しくは「電話を差し上げます」です。ほかにも、「よろしかったでしょうか」は、正しくは「よろしいでしょうか」、「お伺いします」は「伺います」です。何気なく使ってしまっている間違った言葉遣いをしないよう、ビジネスの場ではより一層気をつけたいですね。ビジネスでは、ただ会話が盛り上がればよいというわけではありません。正しい言葉遣いで、相手に信頼してもらう必要があると心得ておきましょう。