健康でいこう!
自分、家族、仲間がポジティブになる!ペップトークでやる気アップのコツを身につけよう
スポーツシーンで、指導者が試合前に選手を励ます「ペップトーク」は、会社や家庭といった社会にも応用できるコミュニケーション術です。職場の仲間や身近な人を励ましたい時はもちろん、自分のやる気がガクンと失われた時は、言葉のチカラを借りるのが効果的です。さっそく今日から実践してみましょう。 日本ペップトーク普及協会理事長/コアコンディショニング協会理事長/理学療法士/健康運動指導士
[監修]浦上 大輔(Daisuke Urakami)さん
北海道大学で運動生理学、リハビリ医学を学んだ後、運動指導のスペシャリストとして、学校体育、リハビリ指導、高齢者介護の現場に従事。現在は、「コアコンディショニング」と「ペップトーク」普及のため、精力的に全国でセミナー・講演活動を行っている。
★ペップトーク普及協会では前向きな言葉の力でやる気に満ちたチームづくりを行う企業向け講演会、企業研修を行っています。日本ペップトーク普及協会のホームページよりお申込みください。
パフォーマンスを向上させる
ペップトーク
 ペップトークをご存知ですか? 「Pep」とは「元気づける」 の意味で、「ペップトーク」とは、アメリカのNFLやNBAといったチームスポーツで、監督が試合や大切な試合前に、選手に向けて使っている激励メッセージのことです。日本では、アメリカでアスレティックトレーナーとして活躍していた岩崎由純氏(日本ペップトーク普及協会会長)が、コミュニケーションスキルとして確立し、スポーツの現場だけでなく、自分や家族、同僚など身近な人を応援するツールとして普及させています。
 ペップトークの基本は「ポジティブな言葉がけ」です。たとえば、試合前に緊張している選手を前にして、指導者は「ミスするなよ」と声をかけます。そう言われると、選手は頭の中でミスをしている自分をイメージしてしまいます。指導者は「してほしくないこと」をつい口に出してしまいがちですが、捉え方を変えて「してほしい」表現に言い換えることが大切です。この場合、ペップトーク流に言い換えると「しっかり決めていこう」「集中!」「リラックスして」というかけ声になります。ネガティブなイメージは、ネガティブな結果を、ポジティブなイメージはポジティブな結果を引き寄せます。言葉のチカラは偉大なのです。
 もう一つ例を挙げてみましょう。女子ワールドカップサッカー決勝戦。決勝の相手は、今まで一度も勝利したことのないアメリカです。試合の前に「今までずっと負けている相手だけど…」と言うよりも、「こんな最高の舞台で戦えるなんて幸運だ」と声をかけたほうが、選手のやる気が引き出されるはずです。
 いくつかの有名なペップトークには、下記の要素が含まれています。
 現在の状況を把握し、受け入れる
 肯定的な言葉を選ぶ(“弱い”“負け”などの言葉を使わない)
 短く分かりやすく、シンプルにまとめる
 キーワードを含める(「勝つのは“今日”だ」など)
  話し手と聞き手のイメージを共有する
 また、声かけをする時に、相手の置かれた状況に合わせて言葉を選ぶことも必要です。
「思いっきり楽しんでこい!」
 これは、なでしこジャパンの佐々木則夫監督が、決勝のPK戦を前にした選手たちに送った言葉です。緊張で委縮しがちな場面でも、状況に合った言葉がけをすることで、選手たちはリラックスした気持ちでPK戦に臨むことができたのです。
ポジティブな言葉で
自分を応援!
 自分自身に語りかけるセルフペップトークは、自分に対して意識的に良い言葉を選んで言い続けることで、潜在意識から変えていく宣言の言葉です。お気に入りの短いフレーズや名言を記したメモを持ち歩き、声に出すか心の中で連呼する方法が最もおすすめで、「できる、できる、必ずできる!」など、三三七拍子のペップトークも効果的です。
 ネガティブなセルフトーク(口癖)はココロにも悪影響です。ココロは言葉やイメージに敏感に反応します。日頃から口に出す言葉はポジティブなものにすることを習慣化していきましょう。

●ビジネスに応用! ペップトークの事例
 今度こそ勝ちたいプレゼンテーションに臨む部下に対して
事実を受け入れる
これまでのプレゼンでは、競合A社が販売店への提案に成功し、連続して勝っている。なぜか…?
とらえ方変換(予告・暗示)
「お客様の心をつかむ」ため、わが社も営業と開発が協力し、この一年全力で新商品を開発してきた。
して欲しい変換(行動・方針)
今回こそ、わが社の商品が圧倒的に「お客様の心をつかんだ」と信じ斬新なアイデアを訴求しよう。
送り出し
さあ、A社に勝って、開発の連中と美味しい酒を飲もう!
●奉行EXPRESS 2014年冬号より [→目次へ戻る]