特集2:Windows Server 2012の特長と新サーバOSへの移行スケジュールを確認
2015年7月に延長サポートを終了するWindows Server 2003(Windows Server 2003 R2を含む)。サポート終了を見据え、新サーバOSへの移行計画を始動する時期に突入しています。サーバOSは社内のシステム全体に関わる重要な役割を担っています。そのため、トラブルは何としても避けたいところ。OSのアップグレードは短期間でできるものではないため、早め早めの行動がサーバOSのスムーズな移行を成功させるポイントです。今回は、移行先の第一候補に挙げられるWindows Server 2012の特長と、移行までのスケジュールを確認していきます。
新サーバOSはWindows Server 2012!
その特長と企業にもたらすメリット
本誌では、前回、前々回と、Windows Server 2003のサポート終了に伴う様々なリスクを解説してきましたが、今回は、次期サーバOSの候補筆頭となる「Windows Server 2012(R2含む)」の特長について紹介します。仮想化、管理ツール、セキュリティなど、企業におけるIT戦略をサポートする機能が強化されたWindows Server 2012。導入までのロードマップを確認するとともに、小規模企業、中堅中小企業、大企業と、企業規模を問わずにITトレンドをカバーする同サーバOSの実力に迫ります。
Windows Server 2012の特長
Windows Server 2012の特長を挙げると、以下の4つにまとめられます。
(1)仮想化技術をベースにしたクラウドへの対応を強化
(2)多様なITインフラ形態に応じるツールとフレームワーク
(3)スムーズでセキュアな管理体系と強力なストレージ機能
(4)デバイスの種類やアクセス場所に影響されない柔軟性
近年、急速に広まりつつあるクラウドへの対応は、もはやスタンダードな機能と言えます。Windows Server 2012は、プライベートクラウド(自社で構築・提供するクラウドサービス)、パブリッククラウド(不特定多数の利用者に広く提供されるクラウドサービス)の双方に柔軟に対応し、企業のIT戦略をサポートしています。一方で、セキュリティやコンプライアンスの面から、オンプレミス(自社運用のシステム)を引き続き使用することも想定され、また、目的に合わせてクラウドとオンプレミスを併用する場合もあることでしょう。このような多様なITインフラ形態に応え、ITインフラに限定されることなく導入できるのもWindows Server 2012の魅力です。また、管理タスクを簡素化し、複雑なIT運用を簡素化しているので、IT部門の専任者をつけたり、業務の手を煩わせたりする負担も軽減できます。使い慣れたWindowsのユーザーインターフェースを引き継いでいるので、ユーザーにとっても使い勝手のよいサーバOSです。
さらに、パソコンからのアクセスだけでなく、タブレットやスマートフォンといったモバイル端末など、アクセス場所や使用するデバイスに限定されない手段も提供されています。もちろん「セキュリティやコンプライアンスが心配」という声にも、管理ツールを活用して、セキュアな環境を確保することができます。
Windows Server 2012のエディション
Windows Server 2012 Datacenter 仮想化を大規模に活用するプライベートクラウド環境向け
Windows Server 2012 Standard 物理的な環境、または仮想化をあまり使用しない環境向け
Windows Server 2012 Essentials 25ユーザー以下、50 デバイス以下の小規模ビジネス向け
Windows Server 2012 Foundation 最大15ユーザーに提供
急増するデータ管理に「SMB3.0」
論理プロセッサ数と大容量メモリをサポートするスケーラビリティでパフォーマンスがより向上したWindows Server 2012の注目が、「SMB3.0」です。SMBとは、Server Message Blockの略で、主にファイル共有の実現に使用される通信プロトコル(ネットワーク上の通信規約)ですが、このバージョンが最新の3.0になったことで、ファイル共有のパフォーマンス、信頼性、暗号化機能、可用性が強化されました。ファイル共有は中堅中小企業で最もよく使われるサーバ機能のひとつです。容量の大きなデータを扱うことになる今後、SMB3.0の高速通信は、サーバOSにおける重要なスペックとなることは間違いありません。災害やシステムの不具合のデータ復旧に備えるバックアッププログラムの「Windows Server バックアップ」を併用すれば、データの保護という観点でも有効的です。SMB3.0の利用は、サーバとクライアントの双方でSMB3.0を利用できる環境が必要なので、クライアントOSはWindows 8の使用が想定されています。
もう一つ、注目すべきストレージ機能が、重複しているデータを自動的に検出・削除する「重複除去」機能です。ストレージの無駄を省き、スマートな検索や管理を実現します。
Windows Server 2012導入までの
ロードマップを作成!
計画的な導入がIT戦略のキーポイント
Windows Server 2003の延長サポート終了まで、あと半年余りに迫りました。サーバOSの移行は、完全な運用に至るまで、それなりのステップが必要です。移行の計画は評価から検証までを行うため、今すぐにでも取り組むことが新サーバOS移行を成功させる鍵となります。ロードマップを見ながら、Windows Server 2012導入までを想定してみましょう。

※Windows Server 2003およびR2 : メインストリームサポート終了2010年7月13日、延長サポート終了2015年7月14日
※Windows Server 2008およびR2 : メインストリームサポート終了2015年1月13日、延長サポート終了2020年1月14日
※Windows Server 2012およびR2 : メインストリームサポート終了2018年1月9日、延長サポート終了2023年1月10日
■次回予告 ※内容は変更になる場合があります。
Windows Server 2003の延長サポート終了まであと半年!
Windows Server 2012移行への最終チェック
・ 延長サポート終了に伴うリスクのおさらいと移行に向けて
・ Windows Server 2012を最大限に活用するために
・ 企業におけるサーバの今後 等
●奉行EXPRESS 2014年秋号より [ →目次へ戻る ]