経済に激震が走ってから、ようやく回復の兆しが見え始めた今日。企業のIT投資に対する抑制にも歯止めがかかりつつあり、投資意欲も微増ではあるものの右肩上がりに推移しています。景気低迷は企業の投資に対する目を養い、「本当に必要なものは何か」「自社にとって本当に有益な投資とは何か」と改めて考える機会となったのではないでしょうか。

そんな中、話題となっているのが、インターネットを経由してソフトウエアや情報サービスを利用し、ITの新しい形を提案するクラウドコンピューティング(以下、クラウド)です。現在、ほとんどの企業にITインフラとしてインターネットやパソコンが普及していることを背景に、ベンダーをはじめとする多くのIT関連企業がクラウドを利用したサービスを展開しています。
そもそもクラウドとはcloudであり、その名のとおり「雲」を表します。グループウエアやスケジュール管理などのアプリケーションをサービスとして提供する「SaaS(サース)」、システム開発・構築や運用プラットフォームをサービスとして提供する「PaaS(パース)」がその代表です。今まで自社で抱えていたシステムを、そっくりそのままインターネットの向こうにある雲の中に追いやるという考え方です。こうすればインターネットにアクセスするだけで、必要なときに必要なアイテムを雲の中から取り出せるというわけです。
話題のクラウドですが、一体どこにメリットがあるのでしょうか。
最大の利点は、その柔軟性です。システムを“所有”せず“利用”するクラウドは、どこからでもインターネットがあればアクセスでき、使用することが可能です。例えば、在宅ワーク、出張・外回りの多い営業のモバイルパソコンやスマートフォンからのアクセスに対応します。また社外との情報共有がスムーズなので、他社との業務提携や協業が多い企業にも最適です。
さらに、インストールやバックアップなど保守運用を自社で行う必要がないため、ITの専任担当者がいない中小企業にとっては心強い味方になるはずです。セキュリティについても、基本プランに含まれていたり、段階的にメニューが選べたりなど、人手が足りない分を専門会社に任せるという選択肢も、クラウドによって現れました。信頼のある「ITのプロ」に頼るのも、賢い選択なのかもしれません。
このようにクラウドは、使い方次第で、業務改善や効率化に効果を発揮することは間違いありません。

国内のデータセンター開設から35年以上の実績を持つNECネクサソリューションズ株式会社では、奉行シリーズをクラウド化するサービスとして、「サービス基盤」を提供しています。クラウドのメリットを活かして奉行iシリーズや奉行V ERPを利用できるこのサービスでは、パブリッククラウド(クラウド事業者が提供するシステムを複数の企業で共有する仕組み)ではできなかった、アドオン・カスタマイズを含むシステムや、奉行シリーズと連携するソリューションの追加に対応しています。そのため、利用する各企業のニーズに柔軟に応えられるサービスになっています。
同社のメリットとして特に注目したいのが、保守運用に手間がかからず、IT専任担当者が不要であることです。奉行ユーザーの中には、総務や経理業務をこなしながらITを管理している方も多いのではないでしょうか。しかし、システムの不具合や異常があった場合の対処法については専門的知識が必要で、なかなか対応しきれないこともあるはずです。そんな時に頼りにできるのがITのプロである同社。データセンターは常時監視され、メンテナンスはもちろん、外部進入や災害への対策も十分施されています。
ネットワーク間はSSL-VPN接続で暗号化し、安全性を高めています。ハードウエア障害に対応するバックアップについても同社が行います。つまり、導入時から同社が「自社のIT管理者」に就任することになるのです。

インターネットを経由してプラットフォームやアプリケーションなどのサービスなどを利用するクラウドは、ITの活用方法自体を変えて管理の負担や業務を効率化させる仕組みでした。一方、オフィス内にある既存のIT機器を活用して、業務をレベルアップさせるには、どのような方法があるのでしょうか。
今やITなくして業務ははかどりません。デスクの周りにあるITを確かめてみてください。奉行シリーズを動かすパソコンを中心に、インターネットのLANケーブル、プリンターケーブル、USBでつないだマウスや外付けハードディスクドライブなど、たくさんのツールに囲まれていることでしょう。
これらは業務遂行のためになくてはならないツールです。しかしIT機器も時として業務をてこずらせることがあります。例えば、パソコンと周辺機器がケーブルでつながれているため、会議室での商談やミーティングルームでの報告会など、デスク以外の場所でパソコンを使えない、また容量の重いファイルを扱うことが多く保存のためのUSBメモリやCR-ROMが山積みで保管場所に困っているなど、便利なはずのIT機器が逆に足手まといになっているケースがあります。
このように、業務をよりよくするために導入したIT機器も、オフィス内にそれらが増えた今は、改めて見直しや改善が求められています。つまり、ITをITで整備する必要があるということです。
では、考えられるいくつかの見直しポイントを挙げてみましょう。
有線LANから無線LANへ |
インターネット接続を有線LANから無線LANに変えることで、ケーブル接続が不要になり、オフィス内でどこからでもアクセスが可能になります。会議室やミーティングスペースでノートパソコンやタブレットパソコンを自由に使えることができるので、会議中に他社のサイトを比較したり、インターネット上の動画を閲覧したり、精度の高い話し合いができます。 |
周辺機器をネットワークでつなぐ |
イントラネットを使ってネットワーク化することで、共有プリンタの使用やフォルダの共有ができます。いちいちその場所に行って接続しなくてもいいので、無駄な動作が軽減されます。情報共有などにも活用できます。
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外付けメモリをオンラインストレージに変更 |
ハードディスクドライブ、USBメモリ、CD-ROM、DVDなど各メモリをオンラインストレージに変えることで、書き込み作業や保存場所の確保が不要になります。オンラインなので、インターネットがつながる場所ならどこからでもアクセスでき、業務の柔軟性が上がり、仕事の幅も広がります。 |
インターネットをより活用 |
社外から社内のネットワークにアクセスできるようにするVPN(Virtual Private Network)なら、在宅ワークや、社外からの業務実施も簡単です。育児休暇や特別休暇の際に活用したり、商談報告や日報提出を素早く行えます。 |
パソコン同士をワイヤレスで接続 |
無線LANを活用してコンピュータの相互ネットワークに接続すれば、商談中の相手に資料を送信することも可能です。
容量の重い画像や動画データにも活用できます。 |
オフィス内のIT環境を変えることは、無駄を省くことにもなります。無駄がなくなればコスト削減にもなります。さらに、今まで煩わされていたITの問題から開放されれば、時間に余裕が生まれ仕事のストレス軽減や効率アップにもなります。そうすれば担当者のキャパシティにも空きができ、本来の業務に集中し、新しいことにも取り組めることになります。中小企業の経営者の中には、「今のIT環境で十分」という方も多くいます。しかし、まだまだ改善の余地が残されているのが実状です。古い体制のままでは、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。他社との競争が激しくなる今、企業の存在をアピールさせるためには、まず社内のIT環境を整えることが必要です。
インターネットの発展はとどまるところを知らず、今でも進化を続け、ITの可能性を広げています。前述のクラウドはもちろんのこと、コミュニティサイトや動画サイトに代表されるようなソーシャルメディア、スマートフォンや電子書籍などの多機能携帯端末がその例です。そしてこれからもインターネットによってITが進化し続けていることは言うまでもないことです。
同時に、ビジネス自体にも変化が起こっています。サービスはマスから個人にシフトし、マーケティングや管理機能も多様化しました。
この変化のスピードは速く、追いつくためにはやはりITの力が不可欠です。以前は一様なITが主流でしたが、今では企業規模や事業ベースでITツールを選べるようになりました。これによりITの選択と集中を図る結果となり、企業力の強化にもつながりました。中小企業にとって、企業を強くすることは競争に打ち勝つ原動力です。そうなれば、小回りの利く中小企業の存在は、ますます大きくなるはずです。
時代の流れはビジネスにおいて“変わらないもの”と“変えるべきもの”の二極化を進めました。そして“変えるべきもの”の一つがITなのです。

シスコシステムズ合同会社では、中小企業向けに最適なソリューションとして、アンマネージド スイッチ、マネージド スイッチ、ルータ、ワイヤレス アクセス ポイント、ネットワーク ストレージ システムなど、オフィスのITをより使いこなす製品を提供しています。
同社が提供するスモール オフィス製品の特長は、ユーザー数が100名以下の小規模オフィスに特化していることです。業務に必要な範囲に設計されているため、低コストで管理も簡単です。
ITに専任する担当者が不在の場合でも、電話やメール一つで設定やトラブルにも対応してもらえるので、安心して利用できます。
●シスコシステムズのシスコ スモール ビジネス製品
アンマネージド スイッチ |
設定不要で、導入したその日にパソコンやプリンタを接続するだけですぐに使用できます。技術者やITに詳しくなくても安心です。静音設計&省電力機能も搭載。
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マネージド スイッチ |
ビジネスの生産性と効率性を高める柔軟性、信頼性、セキュリティを兼ね備えています。優れたパフォーマンスと豊富な機能で、将来ネットワークが拡大しても最小コストで対応できます。
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ルータ |
高速なパフォーマンスをかなえるギガビット イーサネットに対応しています。進入防御システムやフィルタリングなどで高度なセキュリティを約束します。社内からインターネットや他拠点へ、自宅や外出先から社内ネットワークへも高速で安全です。
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ワイヤレス アクセス ポイント |
最新の無線LAN規格に準拠しています。高速通信の提供と高度なセキュリティ機能を備えています。給電対応スイッチに接続すれば、近くに電源コンセントがない場所でも設置可能です。
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ネットワーク ストレージ システム |
本社や支社、拠点や部門の大切なデータを保護する豊富なバックアップ機能に加え、信頼性を最大限に高める可用性とセキュリティも備えています。Webサーバやメールサーバなど、豊富なアプリケーションも提供する万能ストレージです。
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ネットワーク検索ユーティリティ「Cisco FindIT」 |
シスコ スモール ビジネス製品専用の無償ネットワーク検索ユーティリティです。Web ブラウザに組み込んで使用し、ネットワーク内の各デバイスが自動的に検索されるため、運用管理の負担を大幅に削減できます。 |
■用語集
【スイッチ】社内ネットワーク基盤となる機器のひとつ。パソコン、プリンタ、インターネットなどを接続してネットワークを構築します。
【ルータ】インターネットと社内ネットワークなど異なるネットワークをつなぐ通信接続機器。
【アクセス ポイント】電波を発する機器。電波が届く範囲では、ケーブル不要でオフィスのどこからでもネットワークに接続できます。
【ネットワーク ストレージ】ネットワークに接続して使用し、データ共有や重要データのバックアップを行います。
今後は、IP電話やセキュリティ機器など、オフィス内のツールも続々発売予定です。問題解決から今後のビジネス展開まで、トータルで支えてくれるこれらのソリューションは、企業の働き方自体を変え、企業がよりよい方向に向かう舵取りになるはずです。