頭のスパイス 心のビタミン BOOKS

頭のスパイスBOOK 頭のスパイスBOOK
ビジネスに役立つ選りすぐりの一冊
県庁おもてなし課

著者:有川浩
角川書店
1,680円税込)
 ある年、観光立県を目指して、高知県庁観光部に「おもてなし課」なるものが誕生しました。おもてなしの心で観光を盛り上げようというコンセプトで発足した課でしたが、融通が利かない“お役所”では、なかなか成果も出せないでいます。そんな中、おもてなし課で一番若い25歳の掛水史貴は、県出身の著名人に観光特使をお願いしたらどうか、というアイデアを出します。この企画が後にとんでもないことを引き起こすとも知らずに――。
 観光特使の話を進めていたある日、掛水のもとに特使の一人として依頼した人気作家・吉門喬介(よしかどきょうすけ)から連絡が入ります。その内容とは企画のダメだし。ひるむ掛水に容赦ない吉門でしたが、さまざまなヒントを彼に与えます。そして、この出会いがおもてなし課、そして掛水を変えるきっかけとなるのです。
 少し間が抜けていて、鈍感で、お役所に染まっていた掛水が、人との出会いや周りの人の助けをもらいながら“かっこよく”成長する本作。ノンフィクションとフィクションを織り交ぜながらのあらすじは、まるでドキュメンタリーを読んでいるような作品に仕上がっています。
心のビタミンBOOK 心のビタミンBOOK
疲れた心を満たす良質の一冊
ワーカーズ・ダイジェスト

著者:津村記久子
集英社
1,260円(税込)
 東京の建築会社に勤務する重信と、大阪のデザイン会社に勤める奈加子。ある日、お互いが担当者に代理を頼まれ、重信の会社が依頼した会社案内制作の打ち合わせを任されます。日常でよくある、ありふれたシチュエーションで出会った二人。しかも言葉を交わしたのは、20分ほどの業務的な会話だけ。打ち合わせ後すぐに再会したカレー屋での会話を含めても、その時間はわずか1時間程度でした。
 しかし、二人が同じ「佐藤」という苗字で、誕生日も年齢も一緒だったこともあり、それぞれが過ごす「32歳」の1年間、二人は、時々お互いを思い出しては、相手の今につながりを感じながら、また自分の生活に戻っていく日々を送っていました。
 不意に起こる仕事のトラブル、避けては通れない人間関係、20代とは違う身体の変化、恋人との別れ、結婚や子育て…。人生の分岐点ともいえる「32歳」を、重信と奈加子の視点でつづった本作。劇的でもなければ平凡でもない、それでいて少しずつ変わっていく二人の生活や心境は、誰しも一度は感じたことがある共感できる内容。エッセイのような一冊です。
ベストセラー 2011年6月7日 トーハン調べ
    ■単行本・文芸
  • 謎解きはディナーのあとで[東川篤哉/小学館]
  • 陰陽師 醍醐ノ巻[夢枕 獏/文藝春秋]
  • 絆回廊 新宿鮫 ][大沢在昌/光文社]
  • 継承者(上・下) ロッセリーニ家の息子[岩本 薫/角川書店発行、角川グループパブリッシング発売]
  • ログ・ホライズン(2) キャメロットの騎士たち[橙乃ままれ/エンターブレイン発行、角川グループパブリッシング発売]
    ■単行本・ビジネス
  • もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら[岩崎夏海/ダイヤモンド社]
  • 人生がときめく片づけの魔法[近藤麻理恵/サンマーク出版]
  • エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則[P.F.ドラッカー、上田惇生 編訳/ダイヤモンド社]
  • 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方[福島文二郎/中経出版]
  • 日本中枢の崩壊[古賀茂明/講談社]
●奉行EXPRESS 2011年夏号より [→目次へ戻る]