頭のスパイス 心のビタミン BOOKS

頭のスパイスBOOK 頭のスパイスBOOK
ビジネスに役立つ選りすぐりの一冊
優しい会社

著者:安達元一(原案)/神田昌典(監修者)
アスコム
1,680円(税込)
 商社に勤める秋元譲は、いよいよ仕事に脂が乗りはじめた42歳。しかし、周りは上司も部下も使えない奴ばかりでフラストレーションは溜まる一方。そこに追い打ちをかけて、創立記念パーティではお笑いタレントの物まねまでさせられて、うっ憤はピークに。そして迎えたパーティ当日。段々と怒りが込み上げてきた秋元は、勢い余って乾杯用のシャンパンをがぶ飲み。すると、延々と昔の話を語る社長・春山に向かって「アンタらの時代はとっくに終わったんだよ!」と叫んでしまい…。
 しまったと思って目を覚ました秋元は、周りの雰囲気が微妙に違っていることに気づきます。よく見ると、ここは高度成長に沸く1964年の日本。隣には若き日の春山社長がいるではありませんか。自分が置かれた状況を理解した秋元は、彼らの言う“あの頃”の姿を探り始めます。
 背筋を伸ばし意気揚々と歩く人でごった返す1964年、好景気に浮かれながらも時代を作っていった1988年、もの作りと働く意義を見つけた1946年。先人が築いた時代を見てきた秋元に、使命感が芽生えます。「これからは自分の番だ」と。
 過去を体験することで次第に変わっていく秋元の姿に、働く本質が見えてくる一冊です。
心のビタミンBOOK 心のビタミンBOOK
疲れた心を満たす良質の一冊
東京難民

著者:福澤徹三
光文社
2,205円(税込)
 都内の大学に通う時枝修(ときえだおさむ)は、九州から上京してきた一人暮らし中のどこにでもいる大学生。そんな時枝の人生が、三年生の夏休みを境に大きく変わっていきます。
 「学費未納で除籍」。学生課からの突然の通告になす術がない時枝は、事情を聞こうと実家に電話するも電話番号は既に使われておらず、家族の所在もわからない。当てにしていた仕送りは途絶え、収入もアルバイトを辞めてしまったため見込めない。そんな状況下で、マンションを追い出され、恋人にはふられ、友人たちは去っていき…。行く当てのなくなった時枝はネットカフェで寝泊まりし、さまざまな仕事に手を出します。ポスティング、テレアポ、怪しげなバーのボーイ、ティッシュ配り、治験ボランティア、ホスト、日雇いの現場作業。しかしどれも長続きしません。それどころか留置場に入れられたり、命の危険にさらされたり…。次第に時枝は「自分なりの生きるための道」を探し始めます。
 やり遂げることができず、後戻りもできない主人公。“陰の部分”で生きる様子は現代の姿を映しているのかもしれません。
ベストセラー 2011年10月4日 トーハン調べ
    ■単行本・文芸
  • 鬼物語[西尾維新/講談社]
  • 百歳[柴田トヨ/飛鳥新社]
  • マスカレード・ホテル[東野圭吾/集英社]
  • 謎解きはディナーのあとで[東川篤哉/小学館]
  • ジェノサイド[高野和明/角川書店発行、角川グループパブリッシング発売]
    ■単行本・ビジネス
  • 人生がときめく片づけの魔法[近藤麻理恵/サンマーク出版]
  • 日本中枢の崩壊[古賀茂明/講談社]
  • 9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方[福島文二郎/中経出版]
  • 憂鬱でなければ、仕事じゃない[見城 徹、藤田 晋/講談社]
  • 「しつこい怒り」が消えてなくなる本[石原加受子/すばる舎]
●奉行EXPRESS 2011年秋号より [→目次へ戻る]