社会人向けの成功ノウハウ本は、世に溢れていますが、抽象的過ぎて役に立たないケースがしばしばあります。「理屈はわかった。じゃあ、具体的にどう行動すればいいの？」という疑問に答えていないことが多いのです。
　しかし本書は、“超”がつくほど具体的なノウハウを提示してくれる一冊なのです。例えば、30歳過ぎてから、どのように勉強すれば成功者になれるかを時間の使い方はもちろん、有効な筆記具まで紹介してくれているのです。
　こうした具体性は、作者自身の特異な成功体験から生まれています。
　作者は大学を卒業後、一時、新聞社の報道カメラマンとして活躍。しかし、さらなる成長への思い冷めやらず、30歳にしてアメリカ留学を敢行。年齢と語学力のハンデを背負いつつも、それらを克服する勉強法をあみ出しながら、MBA取得、TOEIC980点取得等々、高度な資格を次々に手にすることに成功していきます。自らが社会人時代の苦労を経ながら成功を果たしただけに、本書に書かれているノウハウは、鬼気迫るほどのリアリティに溢れているというわけなのです。
　「1日30分」というタイトルを一瞥すると、かなり安易な方法で成功できそうな印象を覚えるかも知れません。しかし、本書に書かれている勉強法は、実は苛烈です。心して一読することをお勧めします。

　本書は自己啓発本でありながら、小説のように物語風なスタイルのユニークな一冊です。豊かなエンターテインメント性に溢れ、読者を裏切らない面白さが詰まっていて、大いに熱中できる楽しい一冊となっています。
　物語はまるで漫画のように始まります。
　ある日、鬱々と平凡な毎日を生きている「僕」の前に、ゾウの顔をもったインドの大衆神であるガネーシャが降臨してきます。そして、人生の成功者になりたいのなら自分のいうことを聞けと、関西弁で迫ります。彼はニュートンやエジソン、ビル・ゲイツなどを育てた実績があるから信じても大丈夫というのです。あまりに唐突、しかも神らしからぬ下世話な話しぶりに不信感いっぱいの「僕」。とはいえ、かすかな期待に突き動かされ、次第に彼のペースに巻き込まれることになります。やがて「僕」は、知らず知らずのうちに成功を遂げていくのです。
　二人のやりとりは抱腹絶倒の連続。本書の面白さは、物語はもちろん、冗談まじりに発するガネーシャの言葉に説得力が十分にあることです。いつの間にか、笑いながら啓発させられている自分に気付くことでしょう。
　作者は数十冊の自己啓発本から取り出したエッセンスを本書にギュッと詰め込んで執筆しています。様々な種類の自己啓発本を何冊も読むより、断然面白く、役立つ一冊です。