健康でいこう!
ハウスダストの除去で快適な生活空間を手に入れる
人間が住むところにハウスダストは必ず存在します。特に秋はハウスダストを作り出す一因であるダニが繁殖しやすい時期。正しい知識と対策で快適な生活空間を手に入れましょう。 正木拓朗さん マサキ小児科アレルギー科 院長
医学博士
正木拓朗(Masaki Takuro)さん
1975年東京慈恵医科大学を卒業し、同大学小児科に入局。その後、国立小児病院アレルギー科勤務。再び東京慈恵医科大学小児科に勤務後、98年に東京練馬区にマサキ小児科アレルギー科を開院。主な著に『アレルギー全書』(法研)がある。日本アレルギー学会認定医、日本小児科学会認定医ほか。
共働きの家庭に多いハウスダスト
 ハウスダストを作り出すものはさまざまですが、私たちに最も身近なのがダニです。ここで言うダニはアレルゲン(アレルギーの原因)となるコナヒョウダニとヤケヒョウダニを指します。ダニによるアレルギーは単に咬まれたことが原因ではなく、ダニのフンや死骸を吸い込んでしまうことが主な理由です。症状としては、気管支炎やぜんそく、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎が現れます。ダニは人間と共生する生き物です。人間が快適と思う温度(20〜25℃)、湿度(60〜80%)、場所、気候などは、ダニにとっても最適の環境になってしまいます。秋はダニの繁殖期であるため、特に注意が必要です。秋を過ぎると死骸の量も増加します。さらに、ダニは人間や動物のフケを餌とするため、ペットを飼っている家庭は要注意です。
 家を留守にしているからハウスダストは大丈夫と安心してはいけません。意外に思われるかもしれませんが、ハウスダストは共働きの家庭に多いと言われています。というのも、換気が十分ではなく、布団やカーペットを干す回数が少ないためです。密封された部屋は温度、湿度が保たれ、ダニが繁殖しやすい環境となってしまいます。また、これからの季節、スキー場の宿にも注意が必要です。夏の間、湿った押入れに保管されていた布団は、十分に干さなければなりません。乾燥が不十分の場合、ダニだらけの可能性もあります。アレルギーに敏感なお子様をお連れの際などは、事前の確認が必須です。
寝室の掃除と部屋の換気がハウスダスト対策の要
 ダニが好む場所は絨毯やカーペット、寝具やぬいぐるみなどいわゆる「毛羽ついたもの」です。特に「毛羽ついたもの」が多い寝室は、最も快適な場所と相まってダニの宝庫と言っても過言ではありません。特に秋から冬にかけ毛布を用意しますが、寝具の中で一番多くダニが存在するのはこの毛布なのです。
 ハウスダストを除去するには掃除と換気が重要です。忙しい毎日を送る社会人の方々もほんの数分でも窓を開け、換気をすることが大切です。休みの日は掃除をすることをお勧めします。特に毛布、掛け布団は寝具類の中でダニが多いので、日の光に当てて干し、叩いてダニを払いましょう。
 ハウスダストによるアレルギーの症状はすべての人に発症するというわけではありません。家族にアレルギーを持った方や小さなお子様が発症しやすいと言われます。しかし近年、30代でアレルギーの症状が現れる方が増えています。それは、会社や仕事でのストレスが原因で抵抗力が低下しているという理由が挙げられます。
 ハウスダストは生活する上で避けることはできません。忙しい毎日でも、こまめな掃除と換気で快適な生活空間を手に入れることができるでしょう。

吸入アレルゲンへの対策
出典:「アレルギー全書」
●奉行EXPRESS 2008年秋号より [→目次へ戻る]
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