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ビジネスに役立つ選りすぐりの一冊
ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)
ぼくが葬儀屋さんになった理由
著者:冨安徳久
ホメオシス
 筆者は大学入学を控えた18歳のときに天職に出会います。愛知県出身の筆者は、山口県の大学を受験し合格。住居を探しに山口市内を訪れた際、借家の近くにアンティークな喫茶店を見つけます。そこで、のちの人生を変える葬儀屋のアルバイトに出会うのです。
 葬儀屋のアルバイトは祭壇の組立、解体が主な仕事。その中で、遺族と接し葬儀のすべてを取り仕切る先輩の姿と「心から感謝される仕事」の素晴らしさに触れ、先輩のようになりたい!と大学には行かず葬儀屋の社員となるのです。仕事に対するやりがいと熱心さで早々と腕を上げていきますが、“若さ”と“偏見”という乗り越え難い壁にぶつかります。学校を卒業したばかりの若さで葬儀を取り仕切る遺族の不安、「死」を扱う仕事への偏見など苦労は絶えません。それでも常に「感謝されたい」という思いで仕事に望む著者は、25歳で葬儀会館の店長に抜擢された後、別会社に渡り新事業部の責任者に就きます。その後、様々な出会いに恵まれ30代後半に独立し、中部圏の葬祭企業としては初となる名証セントレックス上場を果たしたのです。
 筆者は「熱心さ、働く喜び、人に感謝される仕事の誇り」を持っています。また、どんなときも「信頼でき、尊敬でき、憧れとなる先輩」が存在し、さらに「自分の感じたこと、学んだことを後世に伝える」新たな目標を見出しました。
 自分に何ができるかと問う前に、何に一生懸命になれるか、情熱を持てるのかを考えさせてくれる一冊です。
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疲れた心を満たす良質の一冊
ラン
ラン
著者:森 絵都
理論社
 ある日、主人公の環(たまき)は、店じまいを決めた馴染みの自転車屋主人から、オリジナルのロードバイク「モナミ一号」をプレゼントされます。
 アルバイトを終え、「モナミ一号」で帰宅していた環は、自分の意思ではない別の力でペダルをこいでいることに気づきます。自宅を通り過ぎても一向に止まる気配のない「モナミ一号」は、なんと下界と冥界をつなぐ“レーン”と呼ばれる道を進み、環を「あの世」に導き、既に亡くなった家族と再会を果たすのです。思いがけない戸惑いと嬉しさの中で、生前では味わうことのなかった家族団らんの時間を過ごす環。しかし「モナミ一号」は、冥界に住む本来の持ち主が呼び寄せたもの。持つべき人に返さなくてはなりません。「モナミ一号」を失った環は「家族に会いたい」という一心で、自分の力であの世とこの世を結ぶ40kmの“レーン”を突破する決意をします。
 “レーン”を越えるには、幾つかのルールが存在するため、環は40kmを6時間以内で走破することを目標にランニングを始めます。つらい、やめたい、休みたい…。でもみんなに会いたい。環は続けます。そして、ひょんなことからランニングチームの一員となり、フルマラソンを目指すことに。チームは8人。年齢も職業も走る目的も違うランナーたち。環はマラソンを通じて自分が自立し、気持ちが強くなっていくことを感じてゆくのです。
 非現実的な世界が舞台にもかかわらず、ついそこに存在する出来事のように進むストーリーはとても快活。自分の弱さを知り、強く成長させてくれる一冊です。
ベストセラー トーハン2008年10月7日調べ
    ■単行本・文芸
  • 流星の絆[東野圭吾/講談社]
  • 黒の狩人(上・下)[大沢在昌/幻冬舎]
  • 告白[湊かなえ/双葉社]
  • ひぐらしのなく頃に 解 第3話 皆殺し編(下)[竜騎士07/講談社]
  • 消失 金融腐蝕列島【完結編】(4)[高杉良/ダイヤモンド社]
    ■単行本・ビジネス
  • 脳を活かす仕事術 「わかる」を「できる」に変える[茂木健一郎/PHP研究所]
  • ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ[ジョージ・ソロス著、徳川家広訳、松藤民輔解説/講談社]
  • 脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」[茂木健一郎/PHP研究所]
  • 細野真宏の 数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本![細野真宏/小学館]
  • サラリーマン「再起動」マニュアル[大前研一/小学館]
●奉行EXPRESS 2008年秋号より [→目次へ戻る]
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