著者:石川鐡男
出版社:ロコモーションパブリッシング
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「勘定奉行」のCMディレクター、石川鐡男(てつお)の 軽妙洒脱な俳句エッセイ。読み始めれば止まらず、ついつい最後まで一気に読んでしまうおススメの一冊です。
帯文は長い間、氏のCMに出演していた立川志の輔。「人生の危機を、この角度で自らを笑うのか。彼ほど落語的な人を私は知らない」。
56歳の時に二度目の離婚、59歳で「がん」を発病。普通ならへこんでしまうところですが、このCMディレクターはこうした状況を一冊の本にしようと企てます。山形は酒田での生い立ちや独り暮らしの料理レシピ、バイクや釣りに熱中した日々、そして、55歳から始めた俳句。
「久方に 空を飛ぶ 夢初氷」
「三日月に 帽子を掛けて 野宿かな」
「居酒屋を 出でて三歩の 夜寒かな」
読者をぐいぐい引っ張る軽妙な文章に、即かず離れずの俳句の挿入。映像の編集テクニックを思わせる有りそうで無かった文章構成は、映像作家の面目躍如といったところ。
CMディレクターという映像作家でありながらエッセイスト、そして、俳句結社「百鳥」の俳句同人、故郷庄内の新聞での俳句エッセイ「俳句便」連載、また、落語のオリジナル台本や番組「昭和大百科」を手がけるなど、何時でも、何かを考え続けている「石川鐡男」からこれからも目が離せません。
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